今回は中南米地域にあるコスタリカです。
ブラジルやボリビアなどとは違いコスタリカという国自体あまり馴染みのない国ですが実は、コーヒー豆に関しては高品質なものが多く、小規模農家が独自に工夫を凝らしながら日々、生産に励んでいます。
コスタリカのコーヒー豆の歴史や豆の特徴・おすすめな焙煎度や飲み方を紹介していきます。
下記の記事では、同じ中南米地域のブラジル産コーヒー豆について紹介しています。
- マイクロミル革命によって国の発展に寄与した
- 独自の「ハニープロセス」製法が編み出された
- 焙煎度は浅煎り〜中煎り
- 飲み方はハンドドリップでストレート
コスタリカについて
中南米地域に属しているコスタリカは太平洋とカリブ海に挟まれ、アメリカ大陸を縦断するアンデス山脈が連なる珍しい自然環境にあります。
1948年の内戦終結時には「兵士よりも多くの教師を」というスローガンで軍隊を廃止し、軍事予算をゼロにし、国家予算の大部分を教育や医療・福祉にまわした事で安定した社会を築いてきました。
このような背景からコスタリカの国旗は、赤が自由のために流された先人の血、白は平和、青は空を表しています。
4年毎に行われている「地球幸福度指数」という調査で3回連続1位となっており、「幸せの国」として注目されています。
面積 | 51,100平方キロメートル(九州と四国を合わせた面積) |
人口 | 約509万人(2020年 世界銀行) |
首都 | サンホセ(標高1,200メートル) |
言語 | スペイン語 |
民族 | ヨーロッパ系及び先住民との混血が多数、中南米系 |
宗教 | カトリック教(国教、但し信教の自由あり) |
通貨 | コロン |
コスタリカのコーヒーの歴史
コスタリカでは19世紀初めからコーヒー栽培が行われていました。
1821年にスペインからの独立を宣言したタイミングで、地方自治体がコーヒーの種を無料で配布し生産を推奨したことが、きっかけとなっています。
政府もコーヒー栽培を推奨するため、
・コーヒー栽培における税金の免除
・休閑地に5年間コーヒーを栽培した者への土地の所有権を譲渡
などの法令を出していました。
1846〜90年の約50年間でコスタリカ唯一の輸出品はコーヒー豆でした。
そしてこのコーヒー豆で稼いだお金を使い、国内のインフラ整備を進めたことで国が発展していきます。
マイクロミル革命
近年(20世紀半ば)では「マイクロミル革命」と呼ばれる大きな変革が起こりました。
手数料を抑え、農家の手取りを増やしていくために小規模農家が集まり、自分たちで精製施設を立ち上げる活動がマイクロミル革命。
革命が起きる前までは、コーヒー農家は農協や集荷業者にコーヒーチェリーを売ることで生計を立てていました。
農家はコーヒーチェリーを売るだけなので精製などを行う必要はありませんでしたが、コーヒー豆となるまでには多くの作業工程を経ており、たくさんの手数料が取られていました。
ウェットミルを完備し自身で精製を行なっている生産者も多いグアテマラ、下記の記事ではグアテマラ産コーヒー豆について紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
コスタリカの生産地域と精製方法
コスタリカはアラビカ種のみ栽培が許可されている国で、主に国内中央部で活発に生産されています。
また生産地域は標高が高い場所が多く、コスタリカ産コーヒー豆の約75%が標高1000〜1700mの場所で栽培されています。
昼と夜の温度差が激しい環境で育てられ、より引き締まったコーヒー豆が生産されるようになりました。
生産地域について
コスタリカの生産地域は、首都サンホセ周辺のセントラルバレー、ウエストバレー、タラスなどが有名です。
ミネラルが豊富な火山性土壌と高い標高やコーヒー栽培に適した気候が揃っており、高品質なコーヒー豆が生産されています。
なお収穫は10月から3月にかけて行われるのが一般的。
地域 | 標高 | 収穫時期 | 備考 |
---|---|---|---|
セントラルバレー | 900〜1600m | 11〜3月 | 首都サンホセがある地域で最も古くからコーヒー生産をしている。 |
ウエストバレー | 700〜1600m | 10〜2月 | ビジャ・サルチというコスタリカ特有の品種が発見された地域。 |
タラス | 1200〜1900m | 11〜3月 | 国内で最も標高の高い農園がある。他地域に比べブランド力が高い。 |
トレス・リオス | 1200〜1650m | 11〜3月 | 不動産開発の影響を受け、土地売却が進みコーヒー生産量は年々減少。 |
ブルンカ | 600〜1700m | 8〜2月 | パナマ国境に接する地域。経済的にコーヒー依存度が高い。 |
トゥリアルバ | 500〜1400m | 7〜3月 | 他地域よりも雨量の関係で収穫期が早い。 |
オロシ | 1000〜1400m | 8〜2月 | サンホセからさらに東へ離れた場所で栽培されている。 |
グアナカステ | 600〜1300m | 7〜2月 | 西部に位置し生産地域は広大だが米などの生産物の方が多い。 |
ハニープロセス製法
コーヒー豆は主にウォッシュトプロセスやナチュラルプロセスといった製法が一般的ですが、コスタリカではハニープロセスという製法を2000年代より開発・実践しています。
収穫したコーヒーチェリーには果肉がついており、さらに果肉の下にはネチネチした「ミューシレージ(粘液質)」と呼ばれるものが付着しています。
ウォッシュトプロセスではミューシレージを発酵させることで全て取り除きますが、ハニープロセスでは少しだけ残しておきます。
ミューシレージを残すことにより、コーヒーチェリーの果実感をコーヒーに残すことができ、甘みや深み、複雑さが増します。
ハニープロセスやその他の精製方法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
≫≫【ウォッシュトやナチュラル】コーヒー豆の精製方法4種類について紹介!
コスタリカ産コーヒー豆の特徴とおすすめの飲み方
コスタリカ産コーヒーの主な特徴を一言で表すと「柑橘系の酸味と深いコク」です。
またマイクロミル革命によって、栽培・選別・精製を行なっている小規模農家が多いため、高品質で均一化されたコーヒー豆が流通していることも特徴です。
コーヒー豆の特徴
ハニープロセスを経ることによって、熟した果物のような甘みを楽しむことができ、酸味・苦味・甘みのバランスがよくとれたコーヒー豆と言えます。
コーヒーに甘みを感じられるので、クッキーなどの焼き菓子と相性が非常に良いのも特徴的です。
簡単に作れるクッキーも紹介していますので、参考にしてください。
おすすめの焙煎度と飲み方
おすすめの焙煎度は浅煎り〜中煎りです。
コスタリカ産コーヒー豆の特徴である柑橘系の酸味を味わうには浅煎りの方が楽しめます。
また飲み方はハンドドリップのストレートがおすすめです!
何も入れずにストレートで飲むことによって、コスタリカ産コーヒーの特徴を堪能することができます。
まとめ
コスタリカのコーヒー豆はマイクロミル革命という歴史を経て、小規模農家が独自に工夫を凝らし、品質の高いコーヒー豆が生産されています。
その1つがハニープロセスで一般的な製法とは違った工程でコーヒー豆を精製しており、オリジナリティ溢れるコーヒー豆となっています。
熟した果物のような甘みが楽しめるコスタリカ産コーヒーを、ぜひ堪能してみてください!
Cossy
- 30代サラリーマン
- コーヒー愛飲家
- 1日3杯以上
- アイスカフェラテが好物
- 自家焙煎挑戦中