みなさんはコーヒー豆を専門店などで購入する時に、
◯◯産 ナチュラル
◯◯産 ウォッシュト
などと記載されていて気になったことはありませんか?
実はナチュラルやウォッシュトと書かれている部分が、どのような方法で精製されたか記されています。
精製の違いで同じコーヒー豆でも味や風味・香りに大きく影響しますので、精製方法や特徴を知ることで自分好みのコーヒー豆に出会える可能性が広がります。
では早速コーヒーチェリー収穫後、生豆にするまでの精製方法について紹介していきます。
- 精製方法によってコーヒー豆の味や風味が変わる
- ウォッシュトとナチュラルが1番メジャー
- ハニープロセスやスマトラ式といった独自の精製を確立している国もある
- 精製方法は環境要因によって決まってくる
コーヒーに興味を持つまで精製方法など気にしてなかったです。笑
コーヒー豆ができあがるまで
はじめにコーヒーチェリーが収穫されコーヒー豆となり、コーヒーとして飲めるようになるまでの流れを簡単に紹介します。
コーヒー豆は「コーヒーノキ」と言う樹木からできる果実を精製して取れる種子です。
その果実がサクランボに似ていることから「コーヒーチェリー」と呼ばれています。
コーヒーとして飲めるようになるまでには、生産国側の工程と消費国側の工程の2つに分けることができます。
生産国の工程
- 収穫:手摘みなど収穫方法にもいくつか種類がある
- 選別:質の良い果実を選別
- 精製:味や風味を決める大事な工程の1つ
- 脱穀:パーチメントという保護層を脱穀し重さを減らすことで輸送コスト削減
- 格付:欠点豆の除去や規定等級に沿った選別
- 出荷:湿気から守るため、麻袋へ梱包
生産国側では栽培・収穫を行なってから生豆にするまで最低でも上記の工程が必要となり、生産者の手間暇が掛かっていることが分かります。
作業は機械化されている部分もありますが、最終的に選別や格付は手作業になります。
生産国側で生豆になったコーヒー豆は各国に輸出され、消費国側の工程へ進んでいきます。
消費国の工程
- 焙煎:生豆に火を通すことで抽出可能な焙煎豆にする工程
- 粉砕:粗挽き〜極細挽きまであり、コーヒーにあった挽き具合にすることがポイント
- 抽出:粉砕したコーヒー豆にお湯を通し、コーヒーの成分を抽出
馴染みのある工程も多く、ご自身で行なっていることもあるのではないでしょうか。
一口に焙煎と書いていますが、この中にはピッキングなどの重要な作業も含まれています。
粉砕は「飲む直前に行う・コーヒーに合わせて挽き具合を変える」ことが、美味しいコーヒーを飲むポイントとなりますので、以下の記事を参考にしてみてください。
最終工程である抽出は、飲み方によって抽出方法や器具が異なります。
最近では主流となっているエスプレッソは、家庭でも抽出器具があれば簡単に飲むことができますので、エスプレッソの淹れ方~家庭用エスプレッソマシン~を参考にしてみて下さい。
コーヒー豆の主な精製方法は大きく分けて2つ
コーヒーチェリーの構造は外から順番に、
- 外皮
- 果肉
- ミューシレージ(粘液質)
- パーチメント(内果皮)
- シルバースキン(薄皮)
- 種子
となっており、これから紹介する「精製」によってコーヒーチェリーの種子の部分を取り出し、コーヒー生豆にします。
コーヒーチェリーの種子は向かい合わせで入っていて、1粒のコーヒーチェリーから2粒のコーヒー生豆ができます。
ナチュラルプロセス
- 収穫
- パティオや乾燥棚で乾燥(15〜30日間)
- 果肉除去と脱穀
- 選別
ナチュラルプロセスはコーヒーの精製方法の中では最も古く、収穫したコーヒーチェリーを平に広げて天日干しにする方法です。
レンガ造りのパティオと呼ばれる中庭一面に広げる場合もあれば、高床式の乾燥棚を使うこともありこちらの方法だと風の流れを受け乾きも早くなると言われています。
またエチオピアやブラジルなどの一部地域では、環境的に水を得られないことも多くナチュラルプロセスが採用されていることもあります。
ウォッシュトプロセス
- 収穫
- 果肉除去
- 水洗
- 発酵(3日程度)し、ミューシレージ除去
- 乾燥
- 脱穀
- 選別
ウォッシュトプロセスはコーヒー豆を乾燥させる前に、コーヒーチェリーから外皮と果肉部分を取り除きその後、水を張った水槽に入れ残っている果肉を発酵させ取り除きます。
発酵が終わったコーヒー豆は洗浄し、残った不純物を取り除いてからナチュラルプロセスと同様に乾燥させます。
高品質なコーヒー豆を作る生産者は欠点豆を減らすためウォッシュトプロセスを採用していますが、ナチュラルプロセス以上に時間や費用が掛かります。
またナチュラルプロセスよりも飲んだ時に苦味や渋味が少なく、酸味が出てクリアなフレーバーになることも特徴的です。
特徴的なコーヒー豆の精製方法を合わせて紹介
ナチュラルやウォッシュト以外にも、より高品質なコーヒー豆を生産しようと精製方法に様々な工夫を凝らている国も多くあります。
今回はその中でも代表的な2つの精製方法、ハニープロセスとスマトラ式をご紹介します。
ハニープロセス
- 収穫
- 果肉除去
- 乾燥
- 脱穀
- 選別
ハニープロセスの発祥はコスタリカです。
ナチュラルやウォッシュトと異なる点は外皮と果肉を除去する際、ミューシレージと呼ばれる粘液質を残すよう調整されている点です。
ミューシレージ(粘液質)には甘みやコクがあるため、残しながら乾燥させることでコーヒー豆に甘みが移り、ウォッシュトなどでは得られにくいフルーティな香りや甘みを持ったコーヒー豆に仕上がります。
- ホワイトハニー(10%)
- ゴールデンハニー(20〜30%)
- イエローハニー(50%)
- レッドハニー(0〜25%)
- ブラックハニー(0%かつ高糖度なコーヒーチェリーを使用)
ミューシレージの残存度の違いだけでも飲み比べてみると風味や香りが変わりますので、ぜひ飲み比べてみて下さい。
スマトラ式
- 収穫
- 果肉除去
- 発酵しミューシレージ除去
- 乾燥(1回目)
- 脱穀
- 乾燥(2回目)
- 選別
その名の通りインドネシアのスマトラ島で生まれた精製方法で、雨の多い土地柄であることから乾燥期間を2回に分け、1回あたりの乾燥時間を短くするために考案された方法です。
またスマトラ式が他の精製方法と大きく異なるのは完全に乾燥させる前に脱穀してしまう点です。
コーヒーチェリーの果肉とミューシレージを除去し、乾燥させた後に生乾きの状態で脱穀し、種子の状態で本格的な乾燥を行います。
スマトラ島で生産されたアラビカ種のコーヒーではマンデリンが人気も高く有名ですが、独特な味わいでその風味をなめし皮や湿った土、アーモンドと表現する人達もいます。
まとめ
いくつかの精製方法がありますが生産者はその土地の環境に適した方法で精製を行なっており、水源が近い場所ではウォッシュトプロセス、水源が少なく広大な土地を確保できる場合にはナチュラルプロセスが選ばれてきた歴史があります。
今回は主にコーヒー豆の精製方法について紹介してきましたが、文字に起こしていくと「コーヒー豆は多くの時間と人の手によって出来上がり、私たちは飲める」と改めて感じました。
同じコーヒー豆でも精製の違いで風味が異なることもコーヒーの面白い部分なので、コーヒー豆を購入する時は精製方法も意識して購入すると新たな発見があるかもしれないです。
Cossy
- 30代サラリーマン
- コーヒー愛飲家
- 1日3杯以上
- アイスカフェラテが好物
- 自家焙煎挑戦中